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クリスチャン・デムーロ騎手がイタリアダービーを勝利。念願のダービージョッキーとなる

   

 かつてクリスチャン・デムーロ騎手の兄ミルコは、ネオユニヴァースに騎乗して日本ダービーを制した時こう発言した。

 「イタリアのダービー(デルビーイタリアーノ)を5回勝つよりも、日本のダービーを1度勝つ方が嬉しい」と。

 デムーロ兄弟やフランキー・デットーリ、ウンベルト・リスポリやニコラ・ピンナといった日本でお馴染みの騎手たちを輩出したイタリア。

 かつてのイタリアは競馬先進国として欧州の競馬を引っ張る存在であった。イタリアの天才馬産家として名高いフェデリコ・テシオは、リボーやネアルコといった世界的競走馬を多数輩出。特にリボーとネアルコは種牡馬としても大成功を収め、その血は今日世界中に発展している。

 また日本でもお馴染みのトニービンはイタリアで現役生活を送り、イタリア調教馬としてはリボー以来27年ぶりの凱旋門賞制覇を達成。イタリア競馬の底力を欧州の競馬関係者に再認識させた。

 しかしそんな栄光に彩られたイタリア競馬の景色も今は昔・・・。かねてから伝えられるイタリア国内の深刻な財政危機の影響などにより、イタリアの競馬産業も徐々に衰退。

 2009年には遂に競馬の根幹ともいえるレースであるデルビーイタリアーノ(イタリアダービー)がG2に格下げになるなど、衰退に歯止めが利かない状況に陥ってしまった。

 昨年の1月には賞金未払い問題が深刻化し、欧州格付け委員会から「問題の解決が図られない場合は除名する」と通達が発せられるまでに事態は深刻化。

 一時はイタリア競馬廃止の瀬戸際まで行ったが、すんでのところで賞金の支払いが行われ競馬の存続が決定したという出来事があった。

 このように落ちるところまで落ちた感のあるイタリア競馬。ミルコ・デムーロ騎手が新天地を日本に求めたのも、その他のイタリア人騎手が次々と短期免許を取得し日本にやってくるのも、自国の競馬に見切りを付けざるを得ないからではないだろうか。

 17日、イタリア・ローマのカパネッレ競馬場において今年のデルビーイタリアーノが行われた。このレースを見事制したのが、ゴールドストリーム Goldstream に騎乗したクリスチャン・デムーロ騎手。

 2009年にイタリアで騎手デビューして以来、ここまで僅か6年で世界でも名を知られる騎手に成長したクリスチャン。その競馬センスは兄ミルコを上回っているのではないかと思うこともあり、年々その技量に磨きが掛かっていることは多くの関係者・ファンが認めるところだろう。

 昨今は日本は元よりアメリカやドバイなどでも騎乗を開始するなど、イタリア国外での活動に軸足を置きだした彼。そんな彼にとって、かつての権威を失ったデルビーイタリアーノはどの程度の存在なのかと思っていたのだが・・・。

 ゴールを迎える瞬間、ガッツポーズを何度も繰り返し満面の笑顔を浮かべるクリスチャン。喜びのあまり我を失うほどリアクションが激しかった一昨年の桜花賞よりは自制は利いていたものの、それでも心底嬉しそうだったのが印象的だった。

 かつての栄光は過去のモノとなり、また権威も下がったとはいえ自国のダービー。やはり特別なものなのだろう。またこのレースを2度制している兄ミルコに少し追いついたという事実も、喜びを増幅させる要因の一つになっているのかも知れない。

 念願のダービージョッキーとなったクリスチャン・デムーロ騎手。今年の7月に23歳となる末恐ろしい天才騎手は、この勝利で更に勢いを増しながら世界へと羽ばたいていくだろう。

 数年後、欧州の大レースに挑む有力馬の背中にクリスチャンの姿が当たり前のようにある・・・。そんな光景が日常になることを確信しながら、今後の彼の更なる活躍を期待したい。

 - 海外競馬

        
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