【ダービー回顧】サトノクラウン、名手もダービーの重圧に呑まれたか
昨日のサトノクラウンのパドック、やっぱり弥生賞と東スポが1番よく見えてた。前を歩く馬達が遅くて2人引きでおさえるのが大変そうな印象で。メンコもしてた。けど毛艶はよいし、皐月賞の時より精神状態がよかった。 pic.twitter.com/NmTfgRcp8W
— ٩(。•ㅂ•。)و (@konbanwaon) 2015, 6月 1
デビュー戦のパドックを見て、そしてレースの走りを見て惚れこんだ馬だった。
続く東スポ杯ではアヴニールマルシェを応援していたけど、直線外から豪快に伸びる末脚には痺れた。
3歳緒戦の弥生賞では血統的なモノからか、まだ懐疑的な声を集めていたがそれも力で捻じ伏せた姿に、「どんなもんだい!」と爽快感を覚えた。
自分とは何ら関係のない馬なのに、どうやらサトノクラウンのことが本当に好きになったらしい。皐月賞ではドゥラメンテの圧倒的なパフォーマンスに目を白黒させながら、その一方でサトノクラウンの結果に落胆していた。
巻き返すのはここと信じて、本命を打ったサトノクラウンのダービーを振り返ってみたい。
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最高の出来だったサトノクラウン
パドックの状態だが非常に素晴らしい仕上がりに感じた。馬体の張り、雰囲気、身のこなし全てにおいて出走馬中トップの状態だったろう。フォトパドックや追い切りの動きから状態の良さは予想していたが、その期待を裏切らない素晴らしい出来だったと思う。
この馬の売りは何といってもその柔軟な身のこなしだろう。脚も長い馬だが身体全体を使った動きをする馬で、一完歩の幅が非常に大きい。かといって緩慢なところはないので、それなりに加速力も発揮する。
レース前には血統的な観点から距離不安が囁かれていた同馬だが、これだけ身体を大きく使える馬が距離が持たない筈はない。パドックのサトノクラウンの動きを再確認して、その不安は霧散した。
スタートが全てを狂わした
サトノクラウンの敗因を考える時、それは道中の位置取りが全てだったという結論に達する訳だが、なぜ位置取りが悪くなったかというとスタートで出遅れたからだろう。
正面から映したパトロールビデオを見てもらえば一目瞭然だが、ゲートが開く直前サトノクラウンはゲート内で暴れ、態勢を大きく崩している。これでは良いスタートなど切ることは出来ない。
また悪いことに、隣の枠にいたミュゼエイリアンが出ムチをくれるほどに行く構えを見せていた。その鞍上は横山典弘騎手、「彼がペースを握るならこれは控えた方が無難だ」と直感的に考えたとしても不思議でない。
結果、有力馬の中では位置取りは最後方となってしまった。これが勝負の明暗を分けたと言っても言い過ぎではないと思う。
レースを改めて振り返ると、ルメール騎手らしからぬ雑な騎乗ぶりだったなという印象が残る。スタート失敗でポジションが下がったのはともかくとして、その後もただ回ってきただけという感想を持ってしまった。
いつでも動けるように外にポジションを取るのは分かるのだが、そこから4コーナーまで何らアクションは起こさなかった。ペースは速いという認識が有ったのだろうか、たしかに前半1000mはそこそこ速かったが、そこから実に4ハロンに渡りペースは緩んでいる。
5着に粘ったコメートなどはスタート直後の先行争いに巻き込まれず、コーナーワークを利用してスムーズにポジションを押し上げ、さらにこの区間で脚を溜めたからこそ先行馬総崩れの中掲示板を確保出来たのだろう。
確かに先行馬にとっては少々厳しい流れだったが、だといって直線一気が決まるような展開でも馬場状態でもなかった。サトノクラウンが2着争いに加わるところまで来れたのは、一重に能力の高さそのものに尽きるだろう。
世界中の大レースを勝っているとはいえ、ルメール騎手にとっては日本ダービーは初騎乗だった。もしかしたらどこかプレッシャーを感じ、少々萎縮していたのかも知れない。らしからぬ騎乗ぶりに、ふとそんなことを思ってしまった。
サトノクラウンという馬は非常に素晴らしい競走馬だと思う。馬の形も素晴らしいし筋肉の質も良い。日本にはそれほど馴染みのない血統ということもあり、是非とも種牡馬入りさせるべきポテンシャルの高いサラブレッドだと思っている。
今回は相手が悪かった印象だが、もっとやれても良い筈だ。サトノクラウンが胸を張って種牡馬入りする為にも、近い将来何らかのビッグタイトルを獲得することを期待している。

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