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亡き愛娘に捧げる悲願の重賞初制覇。松田大作とタガノアザガルが壮絶な叩き合いを制す ~2015ファルコンSレース回顧~

   

 21日、中京競馬場では3歳馬限定の短距離重賞「第29回 ファルコンステークス(GⅢ 芝1400m)」が行われた。

 このレースを制したのは、松田大作騎手騎乗のバゴ産駒タガノアザガル

 直線では内のアクティブミノルと壮絶な叩き合いを演じた同馬だが、松田騎手の鬼気迫る追いっぷりに見事に応え先頭でゴール板を通過。

 単勝14番人気での勝利と、波乱の立役者となってみせた。

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いつもの中京とは違い差し追い込みが決まり辛い馬場

 JRA公式ラップ:12.0 – 11.0 – 11.4 – 11.6 – 12.0 – 12.1 – 12.8
 上がり     :4F 48.5 – 3F 36.9

 最初の3ハロン通過が34秒4。馬場を考えると速い流れだったと思う。実際レースの上がりが36秒9。前後半の差が2秒5という、典型的な前傾ラップの流れとなったが、1着2着は前に行った2頭。そう考えると面白い競馬だったと思う。

 普通このような流れになると差しが決まる筈なのだが、今回はそうならなかった。何故か?まず第一に馬場の傾向が考えられるだろう。

 通常中京の芝コースは差しが決まり易いコースである。直線に向いた途端に待ち構える急坂は、先行した馬のスタミナを奪いさり、ゴール直前で態勢が一気に逆転するレースがザラだ。

 ただそんな中京芝コースでも、開幕した直後は先行馬天国となる時がある。この日は中京競馬が開幕してから3日目。4コーナーの傷み方は酷かったが、直線はまだ芝もそんなに飛ばず状態は良好だった。

 他のレースでもそんなに差しが決まる場面は見られなかったので、この日は基本先行馬有利の馬場状態だったと思われる。

 あともう一つ、このレースが体力的にまだまだ未熟な3歳馬のレースだったことも、差しが決まらなかった大きな理由の一つと考えられる。

 速いペースで流れたファルコンSだが、その割には隊列は長くならなかった。全馬ひと塊とまでは言わないが、後ろの馬もそれなりに脚を使う隊列状況だったと思う。

 この時期の3歳馬と古馬。瞬間的なスピードに関してはそんなに違いはないと思う。例えば600mでヨーイドン勝負したら、古馬に勝つ3歳馬も結構いるだろう。

 では3歳馬と古馬とではこの時期、何が最も違うのか?それは体力。もっと言えば持久力が一番違うのではないだろうか。

 今回のファルコンSは前半から速いペースで流れた結果、直線では我慢比べのような展開となった。競り合うアクティブミノルとタガノアザガルは、バタバタとまでは言わないが体力をかなり消耗し、壮絶な叩き合いを演じる。

 通常このような展開になると、中団で脚を溜めていた馬が一気に進出するものだが、このレースでは後ろの馬も追走で脚を使ってしまい伸び切れず、前を行く2頭と同じようになってしまっていた。まさに体力不足、スタミナ切れに陥ってしまったのである。

 唯一中団の内で脚を溜めていたヤマカツエースが最後追い込んできたが、それでも2頭に肉薄するも差し切るまでには至らず。上がりも35秒9(ちなみに出走馬中上がり最速)と掛かっていて、同馬も少なからず一杯になり掛かっていた事を示すような末脚だった。

 このような事からこの日の中京競馬場の馬場状態は、まだ未熟な3歳馬には厳しい条件だったといえるのではないだろうか。

1着タガノアザガル

 道中はアクティブミノルの直後を追走し、直線外に持ち出すと叩き合いに持ち込み捻じ伏せる。中々力強い競馬内容だったと思う。

 飛節も伸びていて仕上がりは良かった。ただ頭が高く脚も短めなので、距離はそんなにこなせない馬だろう。今回の1400mという距離はベストな可能性がある。

 またそんなに速い上がりを使える馬でもなさそうなので、こういう上がりの掛かるタフなコースの方が合ってる可能性は高い。実際3勝とも直線に厳しい坂のあるコースで上げているからね。

 あと鞍上の松田大作騎手の執念も、タガノアガザルの鼻面を少し押したかもしれない。騎手生活19年目での初重賞制覇。腕は悪くないのに重賞を勝てず、本人も思うところは有っただろう。私生活では愛娘を交通事故で亡くすなど辛いことも経験してきただけに、レース後の彼の涙にはグッと来た。

 近年はローカルとはいえ着実に勝ち星を上げるなど、活躍が目立ってきている。この勝利が遅咲きのブレークの大きなキッカケとなることを、心から願わずにはいられない。

その他の馬たち

 2着のアクティブミノルは出来の良さを存分に活かして粘りこんだんだけどね。勝ち馬に目標にされた分、辛かったかも知れない。このレース目標にかなり造り込んでいたので、次走は少し反動が出るかも。状態を良く確かめて馬券は買いたい。

 3着のヤマカツエースは唯一追い込んできた馬。外を回した差し馬は案外伸びあぐねていただけに、内を回した藤田騎手の好判断が目立った。もう少し差しにバイアスが傾いていれば、一気に突き抜けていたかも知れない。

 まだまだ馬体に緩いところを感じさせる馬だけに、今後の更なる成長が楽しみだ。

 1番人気のフミノムーンは4着。一瞬伸びかけたんだけどね。外を回して脚を使ってしまったのか、そこで止まってしまった。中途半端な競馬をした印象なので、もっと極端な乗り方をしていたら結果は違っていたかも知れない。

 - レース回顧

        
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