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馬場状態をフルに活かしきったバウンスシャッセと田辺騎手 ~2015中山牝馬ステークスレース回顧~

   

バウンスシャッセ@中山牝馬S

 15日に行われた重賞「第33回 中山牝馬ステークス(GⅢ)」。

 ハンデ戦で且つ牝馬重賞ということで荒れることの多いこのレースだが、今年も配当こそそこまで荒れなかったが、レース展開的には一筋縄では行かなかった印象を受けた。

 そんな今後のことを考えるとちょっと癖のあった中山牝馬Sを振り返って見よう。

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ビックリするぐらい外差しが決まりまくっていた中山芝コース

 JRA公式ラップ:12.6 – 12.0 – 11.5 – 11.5 – 11.6 – 11.9 – 12.4 – 11.8 – 12.2
 上がり     :4F 48.3 – 3F 36.4

 勝ちタイムの1分47秒5は過去10年の同レースで2番目の好タイム。例年この時期の中山競馬は、芝の発育や天候の影響で速い時計は出にくいのだが、この日は他のレースでもそこそこ速い時計が出ており、馬場自体は時計の出易い状態だったのだろう。

 ただこの日顕著だったのが差し、追い込み馬の台頭。ハイペースで流れたレースは元より、スローペースで流れたレースでも差し、追い込み馬が上位を占めていた。直線に急坂があるとはいえ、基本先行馬有利の中山コースでこれほど差しが決まるのは異例である。

 その現象をもたらした原因は馬場の悪化だろう。コース全体的には内ラチから2頭分位までの荒れ方が目立っていて、更に3コーナーから4コーナー区間では内ラチから3~4頭分の広範囲に渡って芝が飛ぶ、土埃が立つなどひどい荒れ方を見せていた。

 例えば好位に付けた馬でも終始馬群の外を回っていた馬は、最後の直線でも良く粘っていたと思う。東風Sのインパルスヒーロー、シャイニープリンスなどはそういった競馬を見せ、上位に食い込んだ。しかし最後は4コーナーで相当大外を回ったクラリティシチーに差し切られている。

 これは通常の中山なら有り得ないシーンで、それだけ内の馬場が荒れていて、そこを通った馬は不利だったということだろう。メインの中山牝馬Sも、この馬場状態がレース結果に大きな影響を及ぼした。

1着バウンスシャッセ

 休み明けだったが仕上がりは良かったと思う。多少お腹周りに余裕があった気はするが、藤沢厩舎の馬はこういった造り方をすることが多いし、これは許容範囲だったろう。

 気性的に難しいところはあるものの、オークスで3着するぐらいの実力の持ち主なので、まともに走ればこれぐらいの結果は出ても驚けない。しかしそれを抜きにしても、この日初コンビを組んだ田辺騎手の手綱捌きは見事だったと思う。

 ここ数戦ハイペースでも掛かり気味に追走してしまい、道中で体力を消耗することが殆どだったバウンスシャッセ。それを田辺騎手はゲートからそっと出すことで馬に「急がなくても良いんだよ」とメッセージを送り、結果道中はいつになくリラックスして走れていた。これは当たりの柔らかい田辺騎手ならではのアプローチだっただろう。

 そして特筆すべきがその大胆なレース運び。この日の馬場状態を考えれば後方から競馬を進めることは充分予想できたが、それがトコトン徹底していた。

 道中は内の馬場状態が悪いので馬場の良い外側に進路をとった訳だが、中途半端に内から2~3頭目を通るのではなく、馬場の良い4~5頭目を大胆に選択。普通中山のようなコースだとこの進路取りはタブーなだけに、これを実施するには大きな勇気が必要だったと思うが、躊躇せずそれを敢行したのは見事だった。

 直前の東風Sで同じようなコース取りをして勝ったクラリティシチーの経験が、大きく背中を押したのかも知れないね。

 結果として道中いつになくリラックスしながら追走し、また馬場の悪い内側を通ることもなく充分に脚を溜めることが出来たバウンスシャッセ。4コーナーから最後の直線での末脚の勢いは見事で、まさに田辺騎手様々と言った感じのレースだったと思う。

2着アイスフォーリス

 いつも硬い歩き方をするアイスフォーリスだが、この日は引退レースということもありいつもよりも柔らかく、しっかりと歩けていたと思う。地味だが馬の仕上げには定評のある相沢厩舎、しっかりと仕上げてきていたのではなかろうか。

 レースでは三浦騎手が上手く乗ったと思う。必要以上に内を回さずに、馬場の良いところを通らせることを心掛けていた様に見えた。馬場が相当悪い3~4コーナーの中間点で多少脚を取られる場面はあったが、それ以外はほぼ完璧なレース運びだったろう。

 それで最後ねじ伏せられた訳だから、ここは相手が悪すぎたと言わざるを得ない。引退レースを白星で飾ることは出来なかった訳だが、アイスフォーリスにはお疲れ様と声を掛けてあげたいね。

その他の馬たち

 3着のパワースポット、4着のケイティバローズはまさに展開と脚質が嵌ったという感じだろう。差しの利く馬場状態をフルに活かしきったと言う印象を受けた。

 5着のシャトーブランシュは展開と馬場状態を考えると、レース序盤に少し前に行き過ぎた感じがするね。後ろからも競馬が出来る馬だけに、この日の馬場状態だったら中団から後方で競馬するべきだったかも。鞍上の戸崎騎手もこの日は絶好調で馬場も良く分かっていただけに、もう少し考えて乗っても良かったんじゃないかな。

 2番人気のブランネージュは完全に馬場に泣かされたクチだろう。このレースは先行した馬が着順の下位を占める特殊なレースだっただけに、この結果に悲観する必要はない。次走この着順で大きく人気を下げるようなら、逆に積極的に買っても良いんじゃないかな。

 最後に繰り返し言うけど、この日の中山芝コースの馬場状態は特殊だった。この傾向はおそらくBコースに変るまで続くことだろう。今後も馬場状態の推移には注意し、レース予想に活かしたい。

 - レース回顧

        
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