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【オークス回顧】ルージュバック 限られた時間の中で最善を尽くすもたった1つのミスに泣く

      2015/05/26

 栄光まであともう少しだった。

 桜花賞の敗戦のみを取り上げ手の平を返した一部識者たちを、最上の結果を持って見返すことは出来なかった。

 桜花賞時の圧倒的人気からはほど遠いものの、ファンからは変らぬ支持を受け1番人気に推されたルージュバック

 最後の直線、必死になって先頭を守り抜こうとするその姿に熱くなり、声を上げて応援したのだが・・・。懸命に粘るものの力尽き2着でゴール板を通過。

 レース後「苦しい調整の中、良くやった」という思いと、「あと少し、何とかならなかったのか」という思いが自分の中で絡み合い、複雑な気持ちになった。

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 注目されたルージュバックの状態だが、悪くはなかったと思う。

 正直このメンバーの中に入ると真ん中より少し上ぐらいの仕上がりで、状態の良さが目立つ1頭だったというわけではない。ただ身体の柔軟性は明らかに桜花賞時より良くなっており、硬くなっていた身体が解れ活気を取り戻してきたことは分かった。

 おそらくベストの状態を100とすれば、今回はギリギリ90ぐらいの仕上がりだったと思う。ただ桜花賞後に内臓に反動が出て、入厩制限ギリギリまで牧場調整を余儀なくされたことを思えば、良くここまで戻したといえるのではないだろうか。

 今回のルージュバックの調整過程については色々と言われていた。しかし今回のパドックの状態とレースの結果を見る限り、陣営の決断は間違っていなかったと結論付けるのが正しいのではないかと思う。

 レースでは後方に控えた前走とは違い、積極的な先行策をとったルージュバックと戸崎騎手。

 この日の東京競馬は比較的前が残る競馬が続いており、またルージュバック自身もきさらぎ賞では好位から競馬して勝った経験がある。なのでこの判断自体は間違ってなかったのではなかろうか。

 道中は5~6番手の外を追走する形となったルージュバックだが、内で併走するレッツゴードンキが折り合いに苦労するのとは対照的に、前に壁がなくてもスムーズに追走できていた。ここまでは理想的な競馬が出来ていたと言っても良いと思う。

 レースは残り1000mを過ぎた辺りから徐々にペースが上がっていく。そして残り700m手前辺りから徐々に前との差を詰めに掛かるルージュバック。

 そしてゴールまで残り600mを示すハロン棒を通過する瞬間、ハミを掛けルージュバックにゴーサインを送る戸崎騎手。「仕掛けが早過ぎる!」思わず画面に向かって叫んでしまった。

 ミッキークイーンの記事でも触れたが、東京の直線は3歳牝馬にとっては長い。古馬でも約600mに及ぶ直線でゴールまで末脚を持続させるのは至難の業なのに、体力的に劣る3歳牝馬なら尚更だ。

 ルージュバックという牝馬は、中距離での末脚の破壊力と持続力なら世代トップクラスのモノを持っていると思う。ただそれも直線を向いた時のポジションに応じた、適切なタイミングで追い出された時に限り発揮されるモノだ。

 ルージュバックは今回勝ちに行く競馬をした結果、4角を回る時は3番手の位置まで進出していた。このポジションにいる馬が決して緩くない流れの中、4コーナーでトップまでギアを入れたらどうなるか?答えは一つ。待ち構えているのはゴール前での失速という事実のみだ。

 ただルージュバックはやはり並みの牝馬ではなかった。終始クルミナルと池添騎手にマークされ、直線の半ばでは並びかけるような勢いで迫ってくるものの、最後まで交わされることなく粘り通して見せた。正直ゴール前200mまでは何とかなると思ったほどだ。

 しかし今年のオークスはもう1頭、傑出した牝馬が存在した。レースの後半5ハロンの区間ラップが全て11秒台という、いつになく息の入らない厳しい流れの中、後方でジッと脚を溜めベストのタイミングで追い出したミッキークイーン。

 猛然と迫るミッキークイーンに対し、ゴール前100mで再度左手前に変えて必死の抵抗を見せるルージュバック。

 手前を変えた瞬間、一瞬グイっと伸びかけたのだが・・・。そこから挽回する体力はルージュバックには残されていなかった。

 限られた時間の中で出来る限りのことを行い、何とかオークスへと恥ずかしくない状態でルージュバックを送り出した陣営の努力は、残念ながらオークス制覇という最上の形では実らなかった。ただ2着という結果は素晴らしいもので、胸を張っても良いと思う。

 そのレース内容と着差を見るたびに「仕掛けをもう少し我慢できれば」と思わざるを得ないが、それも今となっては仕方がない。レースが生き物である以上、常に完璧な競馬など望めないのだから。

 戸崎騎手には今回の経験を糧とし、秋にはリベンジできるように頑張って欲しいと思う。そしてルージュバックには一先ずゆっくりと休んでもらい、秋には「夢はまだ終わっていないんだ」と思わせるような圧倒的パフォーマンスを期待したい。

 - レース回顧

        
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