馬事総論ドットコム

馬に関することなら何でも取り上げるブログ

「キズナは終わった?バカなことを・・・」敗れても実力を証明したキズナ ~2015大阪杯レース回顧vol.1~

   

 4月5日に阪神競馬場で行われた伝統の一戦、「第59回 大阪杯(GⅡ)」。

 一昨年のダービー馬キズナが断然というのが戦前の評判だったが、レースでは昨年のエリザベス女王杯馬ラキシスの後塵を拝す形となり、キズナは2着と敗れてしまった。

 レース前は確勝とまで囁かれたキズナは何故敗れてしまったのか?その敗因を自分なりに分析してみたい。

スポンサーリンク

負けるべくして負けたキズナ

 キズナの大阪杯の敗因については色々言われているようだが、個人的には敗因は単純明快で、雨の影響でかなりの持久力を影響されることになった馬場状態と、それを深く考慮しないままに行われた早仕掛けに尽きると思っている。

 前日夜から降り続く雨の影響で、不良馬場で行われた大阪杯。不良馬場の程度としてはまだマシだったかな?と思う部分はあるが、それでも結構力の要る、スタミナを要求される馬場になっていた。

 そしてこのレースは徹底的な先行馬不在といわれた割には、道中のペースが速くなった。

 要はゼロスが積極的に飛ばして馬群を引っ張った訳だが、通常の良馬場よりも2~3秒は時計の掛かる馬場状態で、1000m通過が1分1秒1はハイペースと言っても良い。先行馬はもちろん後ろから競馬を進めた馬たちにとっても、追走にそれなりの脚を使わされた筈だ。

 この速い流れの中レース前半はいつも通り後ろから競馬を進めたキズナだが、圧倒的な本命馬の宿命か?レースが後半1000mに突入するといつもよりも早く追い上げを開始する。

 この流れなら正直800m過ぎから徐々に追い上げを開始しても充分間に合ったと思うが、武豊騎手はキズナの実力に自信を抱いていたことと、本命馬が展開利で勝利したというレッテルを貼られるわけにはいかないという自負心だろうか、自分から捻じ伏せる競馬を選択するかのように追い上げを開始した。

 上記はラップ分析の大家である@Mahmoud氏が取ったキズナの個別ラップだが、残り1000m-800m区間でこのレース最速となる11秒5という、馬場状態を考えると極めて速いラップを刻んでいる。明らかに早仕掛けだろう。

 良馬場で速いラップを刻むのと、道悪で速いラップを刻むのとどっちが楽かといえば、当然良馬場だろう。スピードを上げる際に地面から受ける抵抗値が小さいから、少ない労力でスッとスピードを上げることが出来る。

 しかし道悪になると地面に脚を取られたりバランスを崩したりと抵抗値が大きくなるので、当然スピードを上げる際の労力・スタミナは大きくなる。不良馬場で1ハロン11秒5を刻む労力は、正直良馬場で1ハロン10秒台後半を刻む労力に匹敵するか、それ以上のモノになるのではなかろうか。

 そう考えるとゴールまで残り1000mを残したこの地点で、これだけのスピードアップを実施したキズナの負担は相当高かった筈だ。

 キズナはゴールまで残り200m地点、ちょうど坂の入り口付近で一気に失速しているのだが、ちょうどこの地点でガス欠に陥ってしまった。

 現役競走馬の中でも末脚の持続力という点では屈指の存在といえるキズナだが、そのキズナでもこの持久力を要求される馬場状態で且つ直線に坂のある阪神コースで、1000mにも及ぶロングスパートを実施してはスタミナ切れに陥る。

 ましてや勝ち馬であるラキシスは、そのキズナを上回る末脚の持続力を持つ稀有の存在で、しかもこの勝負どころまでキッチリと脚を残していたのだから・・・。

 なので今回のキズナの敗戦に関しては、正直世間が言うほど気にしてはいない。負けるべくして負けたという印象だし、3着のエアソミュールにはそんな競馬をしても3馬身差という決定的な着差を付けている。

 勝ったラキシスの強さに関しては正直想定外だったが、それでももし良馬場で競馬していたら、勝てないまでも着差はかなり縮まったであろう。ルメール騎手は完全にキズナを標的にして最後の直線で追い出しを我慢しており、その作戦にまんまと嵌ってしまったという印象が強い。このレースに関しては2人の騎手の手綱捌きが、勝敗にかなりの影響を与えたと断言しても良いと思う。

 今回の敗戦を受けて「キズナは終わった」という説が競馬ファンの間で囁かれているようだが、「何をバカなことを・・・」という印象しか受けない。まだまだキズナは現役トップクラスの能力を維持していると、その敗れた大阪杯でのレース内容が証明しているからだ。

 まあ春の天皇賞は戦法的にも適性的にもキズナには合わないので、取りこぼす可能性は結構高いと思っている。ただキズナに合っていそうな宝塚記念は、かなりの確率で勝ち負けに絡んでくるだろう。

 正直春の天皇賞には出走しないで、香港のクイーンエリザベス2世Sに遠征すれば、かなりの確率で勝てると思うんだけどね・・・。同馬のベストは2000m前後だと思っているので、正直凱旋門賞挑戦もあまり賛成は出来ないのだが。

 いずれにしても今年限りでの引退が濃厚であるキズナ。今後どのような路線を歩むのかは分からないが、引退までにその実力に相応しいタイトルを獲得することを願わずにはいられない。

 - レース回顧

        
follow us in feedly

  関連記事

その走りに賞賛の拍手を!日本競馬の今後に多大な功績をもたらしたリアルインパクト ~2015ドンカスターマイルレース回顧~

【PHOTO】リアルインパクト Real Impact http://t …

怪物相手に不利な条件で3着と健闘!ゴールデンバローズの未来は明るい ~2015UAEダービーレース回顧~

Jockey Christophe Soumillon tries to spo …

アドマイヤエイカン 地味ながらもクラシックを意識できる勝ちっぷり / 札幌2歳S回顧

 見事デビュー2戦目で重賞制覇を成し遂げたアドマイヤエイカン。  新馬戦とは打っ …

マカヒキ 川田将雅の執念が勝利の女神を振り向かせる / 2016日本ダービー回顧

 クラシック開幕を前にマカヒキの鞍上がクリストフ・ルメール騎手から川田将雅騎手へ …

【都大路S】エイシンヒカリと武豊騎手のコンビが好発進!

 JRA公式ラップ:12.5 – 11.2 – 11.3 …

ノンコノユメの今後の可能性 / ユニコーンS回顧

 競馬ファンの中で追い込みが嫌いという人は恐らく少数派だと思う。  古くはシービ …

【ダービー回顧】サトノクラウン、名手もダービーの重圧に呑まれたか

昨日のサトノクラウンのパドック、やっぱり弥生賞と東スポが1番よく見えてた。前を歩 …

シャトーブランシュ 外差し馬場を味方に快勝!この結果にあの「白い暴れん坊」もニンマリ? / マーメイドS回顧

 14日、阪神競馬場で行われた牝馬限定のハンデ重賞「第20回 マーメイドステーク …

亡き愛娘に捧げる悲願の重賞初制覇。松田大作とタガノアザガルが壮絶な叩き合いを制す ~2015ファルコンSレース回顧~

2015年3月21日(土) 中京11R ファルコンS タガノアザガル(松田騎手) …

2015大阪杯@ラキシス
キズナを破ったのはフロックではない!いよいよ本格化した女王ラキシス ~2015大阪杯レース回顧vol.2~

 大阪杯で見せたラキシスの激走には、多くの競馬ファンが驚いたのではなかろうか。 …