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トレヴ 凱旋門賞3連覇の夢は潰えたが、その輝きは永遠に色褪せることは無い / 凱旋門賞回顧

   

 フランスの競馬ファンの期待を一身に背負い、史上初となる凱旋門賞3連覇の偉業に挑戦した名牝トレヴ

 シーズン末の大一番。相手は各国を代表する精鋭馬ばかり。そのような状況でも単勝1.8倍という圧倒的人気に支持されていたトレヴ。彼女の勝利を疑う競馬ファンは少なかったのではなかろうか。

 しかし「競馬に絶対はない」この何度と耳にしてきた格言、その言葉の意味をまた反芻することになる。

 名牝トレヴはなぜ4着と敗れたのか?その走りを振り返り、敗因を考えて見たい。

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 競走馬にとってレースで好成績を残す為に一番重要なのは自身の状態だろうが、今回のトレヴの出来は間違いなく良かったと思う。いや、良すぎたと言えるかもしれない。

 凱旋門賞中継の中で武豊騎手もコメントしていたが、トレヴという馬は非常に難しく乗り辛い馬である。

 気性は繊細で反応は敏感。かのデットーリ騎手も昨年はトレヴと何戦かコンビを組んでいたが、トレヴが本調子じゃなかったのを差し引いても息が合わず上手く乗れなかったほどだ。

 そんなトレヴであった為、昨年の凱旋門賞前に癖を良く知るジャルネ騎手と再コンビを結成。見事凱旋門賞連覇を成し遂げたのは記憶に新しい。

 今年のトレヴはここまで3戦して無敗だったように、昨年とは比べ物にならない位体調が良かった。反面、例年以上に折り合いに苦労する場面も多く見られるようになっていたと思う。

 人間もそうだが、体調が良いと身体の底から力が溢れ出す様な感覚を覚え、逆に自身を押さえられなくなるような状況に陥ることがある。力を持て余し気味になるのだ。

 この日のトレヴはまさにそんな感じだった。体調は万全、絶好調。早く走らせて欲しいという感情が返し馬をみていても全面に出ていたのが良く分かった。

 ここでトレヴの敗因を先に述べておこう。大きな敗因はただ一つ。折り合いを欠いたことによる消耗。末脚が溜まりきらなかったことにある。

 この日のトレヴはとにかく発汗が目立っていた。ぶっちゃけ汗をかいていたのはトレヴ1頭だけと言っていいほどに、その汗の量は目立っていたと思う。

 これはトレヴのテンションの高まり具合を現してもいる。ちょっとミスったら暴発する。そんな状態だったのではなかろうか。

 そしてそのミスはスタート直後に起こった。出遅れてしまったトレヴ。ただ出遅れ自体は別に大きなミスではない。

 問題は次の場面。内で包まれる競馬を嫌ったジャルネ騎手はトレヴを外に導くのだが、その時外にいたプランスジブラルタルと接触。この接触により身体を硬くして力んで走るようになってしまったトレヴ。完全にスイッチが入ってしまっていた。

 その後は何とか折り合いを付けていたジャルネ騎手だが、トレヴは身体を硬くしたまま追走を続ける。

 それでももう少しペースが速ければ息を抜くシーンも容易に作れたと思うのだが、自陣営が用意したペースメイカーのシャハーは先手こそ奪ったものの、ドスローの逃げを打ってしまいトレヴの折り合いを難しくさせてしまう始末。

 シャハーに騎乗していたのは日本でもお馴染みのグレゴリー・ブノワ騎手だが、ちょっと頂けないペースメイクだったのは間違いないだろう。上手く行かない時はとことんダメなものだが、この辺もトレヴ陣営の歯車が狂った様の一つの象徴と言えるかもしれない。

 レースが進むにつれて、いよいよ折り合いの難しさが表面化してきたトレヴ。フォルスストレートに入るともう我慢は限界という感じで、ジャルネ騎手が必死に手綱を引いていても無視してラストスパートを開始してしまう。

 それでも最後の直線では一瞬「オッ!?」と思わせる脚を使ったが、そこでゴールデンホーンが満を持して追い出しを開始すると、脚を満足に溜められなかったトレヴはあっという間に脚色が鈍り引き離されてしまう。

 最後はフリントシャーやニューベイにも追い比べで劣ってしまったトレヴ。元々内に刺さるところがある馬という事もあり、ジャルネ騎手も矯正しながらで思うように追えなかったのも痛かっただろう。

 最低でも勝ち負けを期待されて身には想定外となる4着でゴール板を通過した。

 レース後、トレヴ陣営の反応は対照的だった。

 手綱をとったジャルネ騎手は「馬場が合わなかった」と敗戦の弁を述べたが、管理するクリスティアーヌ・ヘッド師は「敗因は馬場ではない。強い馬に負けただけだ」とサバサバした様子で語っていた。当然敗れたのは残念だっただろうが、とんでもない重圧の中の一戦を無事に走り終えてホッとしたというのが正直なところなのかも知れない。

 そしてヘッド師からトレヴの引退、繁殖入りも併せて発表されたという。

 残念ながら史上初となる凱旋門賞3連覇は成し遂げられることはなかった訳だが、だからと言ってトレヴが競馬史に残る名牝であるという事実は決して霞むことは無い。

 次は母として、ターフに素晴らしい子供を送り出すという偉大な仕事が待っているトレヴ。

 ひとまず今はゆっくりと疲れを癒し、また第二の馬生で素晴らしい活躍を見せて欲しいと願っている。

 - 海外競馬

        
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