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アドマイヤエイカン 地味ながらもクラシックを意識できる勝ちっぷり / 札幌2歳S回顧

   

 見事デビュー2戦目で重賞制覇を成し遂げたアドマイヤエイカン。

 新馬戦とは打って変わって差す競馬で結果を残して見せたわけだが、最後も粘るプロフェットを叩き合いの末に下したのだから、中身の濃い勝利だったのではなかろうか。

 今回の記事では札幌2歳ステークス覇者、アドマイヤエイカンについて振り返ってみたい。

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1、パドック

 まずはパドックで同馬を見た印象だが、すこしチャカつく仕草は見せていたものの目の色は正常で、口元も泡吹くようなところは無く、また発汗なども見られなかった。

 この時期の2歳馬は人間で言えば中学生ぐらいの年齢なので、ちょっと元気が有り余るというかやんちゃな面が出ただけだろう。キャリアを重ねていけば次第に落ち着いていくのではなかろうか。

 仕上がりに関してはデビュー戦を経たことにより、順当に良くなったという印象を受けた。ただ(時期的に当然ではあるが)まだまだ余裕を残した仕上がりだったのも事実で、皮膚の厚みなんかは今後もっと良化することは間違いないだろう。

 馬体から窺える雰囲気というかスケール感は、ちょうど1つ前を歩いていたプロフェットと同格で、このメンバーでは1つ抜けたモノを感じさせた。なので今回の結果は順当なモノだったという感想を持っている。

 今回のパドックで再確認したのは、股関節の稼動域の意外な狭さだろうか。ハーツクライ産駒は基本股関節の稼動域が広く、後ろ脚で蹴る時に遠くまで脚を伸ばしきって蹴るストライド走法の馬が多い(短距離馬は除く)のだが、アドマイヤエイカンは飛節が直飛なのも影響してか、そこまでストライドは大きくない。

 実際パドックでも後ろ脚の冠歩幅はそんなに大きくなく、ちょこちょこと歩く印象だ。これはもしかしたら母父のフレンチデピュティの影響が現れているのかも。

 また身体全体の柔軟性もそこまで有る馬ではないので、東京コースなど広いコースを得意とするハーツクライ産駒の典型例からは、少し外れる馬かもしれないね。

2、レース

 それではレースついて振り返ってみよう。

 前走の逃げる競馬とは違い、今回は中団からの競馬となったアドマイヤエイカン。

 少しスローな流れの中を折り合いの心配を全く見せることなくスムーズに追走していた同馬だが、あまりにもスムーズに流れに乗ってしまった為に馬が完全に周りに合わせてしまい、途中何度か岩田騎手から気合を付けられる場面が見られた。

 「この馬、おもしろいなー」と思ったのはその時の挙動。

 例えば向こう正面で岩田騎手からペースアップの合図が合った時は、ちょっともっさりしながらも反応しピッチを上げてポジションを押し上げたのだが、岩田騎手が手綱をしごくのを止めると途端にピッチを落としてペースダウンしていた。

 良く言えば騎手の指示に従順。悪く言えばちょっとズルいところの有る馬なのだろう。前向きすぎて反応過敏な馬よりは全然マシだと思うが、岩田騎手のような体力のある騎手じゃないとちょっとしんどい馬かも知れない(苦笑)

 またこのように常に促してないと気を抜いてしまう馬なので、今回のように勝負どころで激しく手が動き手応えが悪く見えても、最後までキッチリ脚を使えるのではないだろうか。

 あとこれはハーツクライ産駒全般に言えることだが、アドマイヤエイカンも同父の産駒の例に漏れず、まだ少しトモの筋力が弱いところがある。

 この筋力面の弱さは年齢を重ねるごとに解消されていくので、それほど心配する必要は無いのだが、筋力不足から生じるパワー不足は瞬間的な加速力の欠如に繋がることが多いので、今回勝負どころで見せたような反応の鈍さが、今後も暫く見られる可能性は否定出来ないと思う。

 今回はレースの上がりが36秒8という持久力勝負の競馬となったので、瞬間的な反応に欠けるアドマイヤエイカンにとっては向いた流れになった。

 これがもっと上がりの時計の速い、ヨーイドンの競馬になった場合はプロフェットを差し切れなかった可能性があっただけに、そういう意味では同馬に少し運があったと言えるかもしれない。

3、将来性

 最後にアドマイヤエイカンの将来性について少し書いてみたい。

 個人的には今年の札幌2歳Sのメンバーレベルは例年と比べると平均か、やや落ちるレベルだと思っている。

 ただその中でも上位2頭はアタマ1つ抜けた実力の持ち主だと思うので、アドマイヤエイカンも過去の札幌2歳S覇者とそう違わない実力の持ち主とみて良いのではなかろうか。

 今後の成長に関してだが、使い出しは早かったものの馬体はまだまだ成長途上のように映るので、まず早熟ということはないだろう。平均的なハーツクライ産駒と同じく古馬になって完成するタイプだと思うので、今後の成長もかなり期待して良いのではなかろうか。

 馬のタイプとしては小回り中距離で、道中のペースが余り緩まない持久力戦で強いタイプではないかと思う。クラシックでいうとダービーよりも皐月賞向きで、その点では昨年の同レース覇者であるブライトエンブレムと被る部分はある。

 ただ先程も述べたようにトモの筋力が弱い面が有るので、中山の急坂で結果を出す為にはこの部分の強化は必須だろう。所属する須貝厩舎は基本坂路を主軸に据えて調教する厩舎なので、馬の成長期とかみ合えばクラシック本番までに、トモの強化は充分可能ではないだろうか。

 札幌2歳Sといえばこれまでも幾多のクラシック候補を輩出してきた登竜門的レースだが、個人的には今年もその格に相応しい馬が勝利したという印象を受けた。

 派手さはあまり無いものの、地味ながらもしっかりとした実力を示したアドマイヤエイカン。同厩の先輩であり、同じく札幌2歳Sを制したレッドリヴェールのように羽ばたけるか注目したい。

 - レース回顧

        
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