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アメリカンファラオの敗因を考える / 2015トラヴァーズS回顧

   

 『3冠馬アメリカンファラオが負けた!?』。

 トラヴァーズS(米G1)が行われた時間は早朝だったので筆者はリアルタイムでは観戦せず、まず結果から知った訳なのだが、まさか同世代に負けるとは思わずに大いに驚いた。

 ただレース振りやラップタイム、そして今回のレースに参戦するまでのアメリカンファラオAmerican Pharoahの動向などを時間を掛けてじっくり勘案すると、その敗戦も腑に落ちたというのが現在の心境だろうか。

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 トラヴァーズSにおけるアメリカンファラオの敗因、その最大の要因はこのレースで2番人気に支持され、スタートから終始アメリカンファラオに絡んできたフロステッドFrostedの存在だろう。

 トラヴァーズS区間ラップ:24.28-24.02-23.18-23.60-26.49

 上記は今回のトラヴァーズSの2ハロン毎のラップタイムだが、前半の半マイル(800m)は比較的ゆっくり入っているものの、残り1200m区間から一気にペースが上がり、その後もペースはまったく緩むことなく、最後は26.49も掛かるという超ロングスパート戦になったことが数字に現れている。

 この逃げ馬には余りにも厳しいペースメイクをアメリカンファラオに強いたのは、レース序盤から2番手を追走し執拗に絡んできたフロステッドとJ・レスカーノ騎手であることは間違いないだろう。

 フロステッドはここまでケンタッキーダービー4着、ベルモントS2着と2度アメリカンファラオの後塵を拝している。

 それが為に今回『是が非でも負かしてやろう』と徹底マークを仕掛けたのだろうが、結果的にはやり過ぎたと見るべきだろうか。確かにアメリカンファラオに土を付ける事は出来たが、自身はそれ以下の着順に敗れてしまったのだから。

 話をアメリカンファラオに戻すが、フロステッドの仕掛けたこの流れは3冠馬と言えども流石に厳しかった。元々同馬は逃げ馬では有るものの、直線まである程度余力を残しながら、最後スパートして他馬を突き放す競馬を一番得意としている。

 今回の流れは最後スパートする余力を残させない典型的な消耗戦であり、逃げ馬の宿命とはいえアメリカンファラオとしてはまんまとフロステッド陣営の仕掛けた罠に嵌る格好に。

 それでも最後はフロステッド自体は突き放しているのだから、さすが3冠馬というプライドは示してくれたのだが・・・。後方で脚を溜めていたキーンアイスKeen Iceの追撃を退ける余力は残っていなかった。

 キーンアイスもこれがG1初制覇とはいえ、ベルモントS3着、ハスケル招待S2着とG1で好走を続けてきた実力馬だけに、これだけお膳立てが揃えばあれだけの末脚が使えても驚きは無い。展開に恵まれたことは確かだが、こういう流れになったら台頭も十分ありえる馬が勝ったというのが正直な感想だろうか。

 このようにトラヴァーズSのアメリカンファラオの敗因の大きな部分はレース展開が占めていると思うのだが、もう一つ敗因として有り得る要素をあげると、それは「アメリカンファラオの体調」ではなかろうか。

 ツイッターで吉田直哉氏(ウィンチェスターファーム社長)がレース前に呟いていたが、アメリカンファラオは今年緒戦となった3月のレベルS(米G2)以来、ずっと月1走ペースで使われ続けている。

 アメリカ競馬は競走馬にタフさを求めるところがあるので、この使い方自体はさほど珍しいものでもないが、それでも世界トップレベルのハードなレースをこれといった休養もなく使い続けていれば、さすがにその消耗も馬鹿にならないだろう。

 今回のレース前に追い切りに臨んでいるアメリカンファラオの写真を見る機会があったのだが、目の辺りがすこし黒ずんでいて夏負けの兆候らしきものが出ていた。

 アメリカも夏で競走馬には応える時期だろうし、連戦の疲労も当然あっただろう。アメリカンファラオも生き物である以上、常に100%の状態なぞ求められないだけに、今回はベストの実力は発揮しづらい状態に有った可能性は否定できないと思う。

 レース後、オーナーのザヤット氏は『このまま引退の選択肢もある』とコメントしたと聞く。おそらく敗戦のショックで思わず出た言葉であろうとは思うが、もし引退ならば残念でならない。

 これだけの名馬だけに『晩節を汚してはならない』という気持ちは当然理解できるが、今回は色々と不幸な要因が重なった上での敗戦と思えるだけに、そこまで悲観的にならなくても良いと思う。如何に歴史的名馬といえども敗れる時があることは、今までの歴史が証明しているからだ。

 どちらにしても今年一杯で引退が濃厚なアメリカンファラオ。であるならば、アメリカ最高峰のレースであるブリーダーズCクラシックに最高の状態で挑み、競馬ファンにアメリカンファラオのベストパフォーマンスを見せ付けた上で引退して欲しいというのが、競馬ファン全ての願いだろう。

 今回の敗戦はブリーダーズCでアメリカンファラオがベストパフォーマンスを発揮する良いキッカケとなった。シーズン終了後、そう回顧出来ることを期待している。

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