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エイシンヒカリ そのパフォーマンスレベルは世界の歴代名馬級との評価 / イスパーン賞レース回顧

   

 ・・・いやはやビックリした。これが今回のエイシンヒカリの海外遠征緒戦となる、イスパーン賞(仏G1)を見た直後の率直な感想だろうか。

 昨年末の香港カップを快勝したように、エイシンヒカリの実力そのものには疑いの念は無く、ここでも通用するとは思っていた。

 ただそれも「良馬場なら」という条件付。ここ数日パリは雨が良く降っていて、レース当日の馬場コンディションはレーシングポストによるとHeavy、要はグッチャグチャの不良馬場。

 さすがに日本馬に、もっと言うなら良馬場でこそのディープインパクト産駒には用が無い馬場だと思っていたのだが・・・。

 しかし蓋を開けてみれば勝ったどころか、2着に10馬身(といってもフランスギャロはこの辺大雑把で、タイム的に実質8馬身差が正しいと思うが・笑)を付ける圧勝。

 まさに驚かない方がおかしいと思える結果となった訳だが、なぜエイシンヒカリはこれ程のパフォーマンスを発揮出来たのだろうか?

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 考えられる理由の一つは、こちらの想像以上にエイシンヒカリには道悪適性が有ったと言うことだろう。

 レースを振り返ってみると、レース序盤はすんなりと先頭に立ったエイシンヒカリ。しかし流石に馬場状態が気になるのか、そのフットワークは窮屈で道中何度もバランスを崩してノメっていた。

 いつもはもっと勢い良くスピードに乗り快調に逃げる同馬だが、そんな状態なので思ったよりもスピードに乗らない。なのでスタートして2ハロンも行かない内に外でマークしていたヴァラモスに先手を奪われ、2番手に下がってしまった。

 正直この時点で「終わった・・・」と思った競馬ファンは多かったのではないだろうか。実は筆者もその一人(苦笑)内に押し込められそうになって頭を上げていたし、フットワークも乱れかけていたからね。これは最悪の形となったと思った。

 ただそこで上手く立ち回ったのが鞍上の武豊騎手。さすが日本が誇る名手、すぐさまヴァラモスの外に出すと無理なく2番手のポジションを確保。ロスを必要最低限に抑えてみせた。これは地味に大きいファインプレーだったと思う。

 その後は自分のリズムを取り戻し、しっかりと折り合いながらレースを進めていたエイシンヒカリ。やはりたびたびノメってはいたものの、そこまで執拗に脚を捕られるような場面はなかったと思う。

 そして最後の直線。逃げるヴァラモスの外に並びかけて抜け出していく訳だが、その時の脚運びがノメっていた道中のモノとは違い、正確に馬場を捕らえて実に力強いものだったのに驚いた。重心も安定し、まったく馬場を気にすることなく伸びていくエイシンヒカリ。

 なんで同じレース中にも関わらず、こんなに脚捌きの力強さが違ったのだろう。答えはそのピッチの大きさ、エイシンヒカリ独特のピッチ走法にあると考えられる。

 エイシンヒカリはストライド走法とピッチ走法を使い分けるタイプの馬だ。レース中の大部分はフットワークの大きいストライド走法で伸び伸びと走り、勝負どころではピッチ幅を狭めたピッチ走法に切り替え一気に加速、抜け出しを計る。

 競走馬と言うのは多かれ少なかれ大体この2種類の走法を必要に応じて使い分けるものだが、エイシンヒカリは特にこの2つの走法の落差が激しい。それはレースを見ていてもすぐ気が付くほど。

 このエイシンヒカリのピッチ走法が、今回のシャンティイの馬場に非常にフィットしていた。必要以上に前に脚を出すことなく、それでいて非常に高速で回転する四本の脚。人間でもぬかるんだ道や滑りやすい雪道などを歩くときは歩幅を短くして転ばないようにするものだが、これはそのまま競走馬にも当てはまる。

 しかもエイシンヒカリは前足の使い方が掻き込むような感じの馬なので、余計にこういう馬場だと馬場を掴む様な感じとなり推進力が生まれ易い。最後の直線の脚色が他馬と全く違ったのは、他馬の脚色が鈍っていたのと同時にそもそもこういう馬場での脚力の違いが現れたものだろう。

 最後は右手前に換えた後、大きく内に切れ込んでいたようにエイシンヒカリ自身も脚色が一杯になりかけていたが、それでも最後まで着差を広げ続けていた同馬。根本的に力が違ったというしかない強さだったと思う。

 これで一躍世界中の競馬ファン・関係者から注目される存在となったエイシンヒカリ。次走はロイヤルアスコット開催で行われるプリンスオブウェールズS(英G1・芝2000m)の予定だが、各ブックメーカーは当然のように前売り1番人気に設定した。

 気の早いところなどは凱旋門賞の1番人気として設定するなど、すでに現地ではスターホース的な存在にまでなっているようだが、あの強さならこの喧騒も判る気がする。

 欧州の権威ある競馬専門誌レーシングポスト(RacingPost)などは、暫定ではあるが今年最高となる132のレーティング(ちなみにジャスタウェイは130)を付けた様だ。

 まさに一夜にして世界の競馬シーンの主役に躍り出たエイシンヒカリ。彼の遠征はまだ始まったばかりだが、ぜひとも更なる大仕事を成し遂げることを期待したい。

 - レース回顧, 海外競馬

        
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