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リオンディーズ 皐月賞の敗戦に縛られてしまったデムーロ騎手 / 2016日本ダービー回顧

   

 クラシックシーズンが始まるまでは、春2冠の最有力候補と目されていた2歳王者リオンディーズ

 しかし終わってみれば春2冠は戴冠どころか馬券圏内すらないという無残な結果に・・・。多くの競馬ファンをがっかりとさせる結果に終わってしまった。

 一時はドゥラメンテより上とすら言われたリオンディーズだったのだが・・・。ダービーでのレース振りを振り返りながら、彼について考えてみよう。

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 仕上がりは非常に良かったと思う。恐らくメンバー中1番良い出来だったのではないか。

 この血統の馬らしく、無駄な肉が削ぎ落とされスラッとした伸びのある馬体。キングカメハメハ産駒らしく要所要所にはしっかりと筋肉が付いているのだが、全体的なシルエットは母父のスペシャルウィークが現れていたと思う。

 気性面でもパドックから気合を面に出し過ぎていた半兄エピファネイアと違い、非常に落ち着いていたリオンディーズ。

 良く比較されるこの2頭の兄弟だが、個人的にはあまりに気性面のコントロールが難しかった兄に比べて、弟はまだコントロールの利くタイプなのではないかと思う。

 レースに関しては非常に残念なものとなった。戦前鞍上のミルコ・デムーロ騎手は各誌インタビュー等で「皐月賞は自分の騎乗ミスで負けた。リオンディーズの折り合い面は心配ない」とコメントしていたが、終わってみれば真意は正反対だった様だ。

 明らかに皐月賞の敗戦が裏目に出た騎乗ぶりだったと、筆者のみならず多くの人がレース後に感じただろう。ある程度控えることは想定していた。しかし最後方近くまで下げるという、あそこまで消極的な戦法を選択するとは・・・。

 レース序盤、スタンド前では確かにかなり行きたがっていた。ただあれくらい行きたがるのは前走、前々走と前に行く競馬をしていただけに馬の反応としては当たり前。リオンディーズは非常に頭の良い馬だけに、いつもと違う位置取りに戸惑うのは当然だろう。

 ただ1コーナーを回り2コーナーに差し掛かる辺りでは、もう行きたがる面は消えしっかりと折り合っていたリオンディーズ。この辺が半兄のエピファネイアとは違う。いったん納得すればすんなりと騎手の指示に従う馬なのだ。

 思えば皐月賞での向こう正面で発生した暴走と言われる場面だって、馬が勝手に行ってしまった訳ではない。マウントロブソンの接近に焦ったデムーロ騎手が慌ててゴーサインを出した結果、馬がその合図に素直に従っただけなのだ。もしあの場面で鞍上が何もしなかったら、リオンディーズは暴走することなく普通に折り合って競馬していた筈。

 今回のダービーでもレース前半は1000m通過60秒ちょうどと平均ペースで流れたが、その後の2ハロンで12.9-13.1とかなり緩んだ。折り合いに難のある馬だったらこの時点で行きたがる筈だが、リオンディーズはこのペース鈍化にすんなりと対応し、行きたがる面は全く見せず。

 このような姿からも分かるように行きたがる面を見せるのは最初だけで、コントロール自体は兄と比べても全然利くリオンディーズ。それだけにもっと前に、最低でも上位3頭の直後ぐらいに付けられていたら・・・と、残念でならない。

 競馬専門誌サラブレなどで有名なラップ分析の大家マームード氏が、レース後上位5頭の個別ラップをツイッター上で発表していた。その内のリオンディーズの物を下に紹介しよう。

 上がり3ハロンはJRA公式と同じ33秒2。この数字も確かに凄いが、もっと凄いのはラスト4ハロンの数字で44秒5で駆け抜けている。いくら馬場コンディションが良かったとはいえ、3歳春時点での芝2400m戦でこの数字は驚異的な数字だ。

 ちなみに上位3頭はというと、マカヒキで44秒8、サトノダイヤモンドで45秒1、ディーマジェスティで44秒9だった。

 リオンディーズのポジションがこれら3頭よりも後だったことを考慮しても、この数字の価値はかなりの物だろう。仮に3頭と同じようなポジションで競馬していたとしても、最低でも彼らと同等の脚を使えた可能性は容易に想像できる。

 このような数字を見て改めて実感する。やはり今回のダービーは四強だったのだと。

 それだけに余計に今回の消極的なレース振りが残念でならないし、だからこそ勝負の女神もそっぽを向き、彼に5着という結果しか与えなかった。このレースに関しては明らかにデムーロ騎手は上位4頭の騎手、川田・ルメール・蛯名・武豊の足元に及ばなかったのだ。

 ただこれが競馬であり、勝負というものなのだろう。いつも全てが上手く行く訳でもないし、上手く行かないことの方が多い。だからこそ勝利した時の価値は非常に大きなものとなる。

 思えば兄エピファネイアも栄光と挫折が常に交互に現れる競走生活だった。この春、その期待の大きさからすると不遇とも言える結果に終わったリオンディーズだが、これも飛躍に向けて必要な雌伏の時と捉えるべきなのだろう。

 その器の大きさは兄にも決して劣らないと信じているリオンディーズ。この試練を乗り越え、更に大きくなって戦場に帰ってくることを期待している。

 - レース回顧

        
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