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妊娠することにより競走能力が向上!?まれに聞く受胎した牝馬が大レースで好走する理由が判明

   

ウインドインハーヘア

 まれにお腹に子供を宿したまま大レースを優勝した牝馬の話題が、海の向こうから届くことがある。

 日本でも何年か前に地方競馬で、受胎していたことに気付かなかった牝馬が馬房で仔馬を出産してニュースになったことが有ったが、あれは完全にアクシデントで父親が判明せず、子供は血統登録できなかった。

 しかし海外から届くこの手のニュースの場合、それはアクシデントではなく計画的な交配の結果であることが殆どだ。

 何故海外では現役競走馬に交配を実施するのか?そしてそのメリットは何なのか?このことに付いて詳細が書かれている記事を発見したので、今回はその記事を紹介しようと思う。

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イギリスでは妊娠後120日以内ならばレース出走可能

[JAIRS] 現役の牝馬を妊娠させることの利点(イギリス)【生産】
http://www.jairs.jp/contents/w_news/2015/3/5.html

 カッサンドラゴー(Cassandra Go)は、2001年に妊娠中でありながら、キングススタンドS(G1)を制して大きく報道された。さらに2014年10月、その1歳産駒(父シャマルダル)がジョン・ファーガソン(John Ferguson:モハメド殿下の生産アドバイザー)氏に170万ギニー(約3億2,130万円)で購買され、再度新聞の見出しを飾った。

 牝の競走馬は競走生活を終える際、しばしば将来の繁殖牝馬として馬主の手元で繋養される。時には、馬主は牝馬の現役中に交配を選択し、現役引退から初仔出産までの期間を短縮することもある。

 北半球の種付けシーズンを目前に控えた今、この記事では、現役の牝馬を交配させる理由と、それによるメリットとデメリットに関して言及する。

 関係者が現役牝馬の交配を決断をする理由、すなわち、レースで勝つチャンスがある牝馬を受胎させる理由の1つ目は、大抵の場合、待ち時間を最大限に活用したいからである。現在のBHA(英国競馬統轄機構)のルールでは、牝馬は妊娠120日目までの出走が認められている。

 理由の2つ目には、癖のある牝馬の行動と気性を改善する試みがあげられる。種付けシーズンに行動が激変する牝馬の存在は知られており、著しい場合は発情サイクルである21日中5日間は、調教が困難になることもある。現役の牝馬を交配させて受胎させることは、発情サイクルのない期間を延長させる方法の1つであり、気性によって妨げられることなく調教と競走を続行できる。
理由の3つ目は、妊娠による生理的効果を活用することであり、このことによって競走中のパフォーマンスが向上し、牝馬自身と仔馬の価値が高められる。(全文はリンク先参照)

 時折新聞を賑わす、受胎した牝馬がレースを優勝するというニュースだが、まさかこういう理由があったとは知らなかった。

 そもそも今まで「何故妊娠した馬がレースに出られるのだろう?」と思っていたのだが、イギリスでは公式に妊娠後120日まではレースに出られるというルールが有ったとは・・・。

 まあ確かにそうでなければ、その時受胎していた子供の血統登録も難しくなるだろうから、当たり前といえば当たり前なのだが・・・。日本ではこのようなことはまず起こらないので、その当たり前のことも気付かなかった(苦笑)。

 ちなみに日本ではこの様なことは、少なくともJRAでは認められていないと思う。基本的に牝馬が種付けを実施する際には繁殖牝馬への用途変更が必要になるので、競走馬登録を抹消しなければならない筈。

 JRAは出走履歴のある馬が一度競走馬登録を抹消すると、一部条件を満たす馬(未勝利で地方競馬に転出し、再転入条件を満たした馬)以外再度の登録は認めていないので、現実的に不可能だと思う。

 地方競馬なら種牡馬から現役に復帰したキャニオンロマンの様な例もあるだけに、やろうと思えば出来るのだろうが・・・。そこまでする生産者はいないかも。妊娠初期とはいえ激しい運動を伴う訳だから、それなりに流産するリスクは高まりそうだし、記事の中にもあるように関係者に対する負担も馬鹿にならない。

 そもそも日本でも出来てるのなら、進歩的で色々と余裕のある社台ファームやノーザンファーム辺りが既に試しているだろう。それがそういう話を聞かないということは、やっぱり日本では出来ないということなんだと思われる。

妊娠することで競走能力が向上!?

 ところで記事の中で現役牝馬を受胎させるメリットについて触れていたが、簡単にまとめると次の3つになる。

  • 競走生活終了から出産までの待ち時間の短縮
  • 癖のある牝馬の行動と気性の改善
  • 妊娠による生理的効果の影響により、競走パフォーマンスが向上

 1番目については読んで字の如しだろう。ギリギリまで競走生活を延長することにより、少しでも多くのチャンスを狙うということだ。

 2番目の行動と気性の改善だが発情、俗にいう「フケ」の時期は馬によって個体差はあるけれども気性的に敏感になり、扱うのが難しくなることが殆どなのは確かだ。さすがに調教が出来なくなるぐらいに激しく発情する馬は稀だが、それでもこの時期の牝馬は調教にも気を使うし、レースでも実力を出し切れないことが多い。

 それを受胎することによるホルモンの変化により、改善させようということなのだろう。日本では先に述べた理由でそういう事例に遭遇することな無いので効果の程は判らないが、科学的に理由が説明されており、また数字もそれなりに出ているということなので、実際に効果があるのは間違いないのだろうと思う。

 そして一番驚いたのが3つ目の理由。競走時におけるパフォーマンスの向上だ。

 受胎することによりホルモンバランスが変化し人間の指示に従順になるので、レース中の騎手の指示にも良く従いレースパフォーマンスが向上するという精神的な理由は判るのだが、まさか肉体的にも受胎が好影響を与えるとは思わなかった。

 確かに例は少ないものの、妊娠中に大レースを勝った牝馬は何頭もいる。リンク先の記事には3頭紹介されているが、他にも日本の競馬ファンにもお馴染みであるウインドインハーヘア(ディープインパクトの母親)が、初仔であるグリントインハーアイを受胎した状態でドイツGⅠアラルポカルに優勝したことは有名だ。

 このように成功例が少なくなく、また科学的にも利点が証明されているとなれば、余裕のあるオーナーブリーダーならば競走生活末期を迎えた牝馬に種付けし、しばらく走らせてみようと考えるのは当然だろう。それでもし好成績を残せばその牝馬の価値は向上する訳だし、また上手く行かなくてもそれほどダメージは無いのだから。

 日本ではルールが改正されなければ今後もこのような牝馬は出てこないだろうが、イギリスなどでは科学的な裏付けも取れた今後は、徐々にこういった馬の存在が増えてくるかも知れない。海外競馬好きとして、今後の展開に注目したいところだ。

 - 競馬雑談

        
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