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勝利よりも折り合い、レース内容を優先する日本人騎手たち。それを評価する競馬サークル

   

汎用レース写真2

 今回オークスの回顧記事を書くためにレースを振り返って思ったことは、「レースにおいて自分から動き勝負した騎手と、馬の気持ちに任せた乗り方をした騎手との差が如実に出たな」というものだった。

 ミッキークイーンにしてもルージュバックにしても、そしてクルミナルにしてもレース序盤から勝利のみを追及し、それぞれの鞍上が積極的に馬を動かして競馬をしている。

 しかし例えば5着に終わったアンドリエッテにしても、(見た目には)追い込み不発だったクイーンズリング、キャットコインにしても、10着に終わったレッツゴードンキにしても、それぞれ馬の気持ちを尊重し過ぎて消極的になり、折り合い最優先でレース序盤にポジションを獲りに行ったり途中で動いたりしなかった。

 その行為による結果が戦前に抱いていた期待とはかけ離れる形となって現れ、レース後色々と不満等を述べる形となる訳だが、「レースで勝ちに行ってないのに何を言ってるのだ?」と思わざるを得ないことが多々ある。

 これは別に今回のオークスに関することだけではない。それこそ桜花賞にしても勝ちに行こうとした騎手が乏しかった為に、あのような物議を呼ぶレースになったのではないか。

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 現代競馬は以前よりも各馬の能力差が接近してきた為、騎手の重要性が高まっている。以前は馬と騎手の重要度の比率は馬7騎手3などと言われていたが、現在では馬5.5騎手4.5ぐらいになっていると言っても大袈裟ではない。

 別にスローペースが悪いとは言わない。日本の競馬を腐す人たちが良く比較対象に出す海外の競馬だって、アメリカを除けば前半スローな競馬が殆どだ。

 欧州の競馬は勿論のこと、近年成長著しい香港競馬だってマイル以上の距離になると前半ドスローで、レース上がりが34秒台前半や33秒台になることなどザラなのだ。

 なのに何故これほど言われるのか?「隣の芝生が青く見える為」という意見は確かに否定しないが、一番の問題は勝ちに行く姿勢に乏しい騎手が多いからだろう。

 欧米の競馬ではどんなペースであろうと、勝負どころでは騎手は積極的に動いて勝ちに行く。ペースメイカー以外の逃げ馬を大きく逃がすようなことはしないし、日本のように直線まで折り合い選手権を繰り広げるようなことはしない。

 でも日本ではまず折り合いを付けることが最優先みたいな考え方があり、そして負けても上がり最速なら褒められるという変な文化がある。

 上がり最速を記録して賞金が出るならそれは存分に競えば良いと思うが、実際には最速を記録することには何ら意味がないわけで、それに拘り本来勝てるレースを落としてしまったら、それは本末転倒というものだろう。

 このある意味宗教じみた変な価値観は、筆者も過去に競馬サークル内に在籍していた当時は良く感じた。恐ろしいのは在籍していた当時は、その変な価値観に殆ど疑問を持っていなかったということ。

 当時は人気で負けても最後差してきたら、「展開が向かなかった。しょうがないね」で済ましていたのだ。このような考え方の人は、現在の競馬サークル内でも多く存在するだろう。以前の自分も何故負けたのかを理論的に、そして科学的に追求することはせず、見た目差してきた姿に満足しそこで思考停止していた。

 いつまで経っても勝ちに行く騎手が増えない根本的な要因もここにあると思う。勝てなくても責められない、最後脚を使えば逆に良い騎乗と褒められることもある。それでは必死になって勝とうとはしないよね。入着すればそれなりの賞金は入ってくるのだから。

 人間とは安定した環境に居ると、頭ではもっと上を目指さなきゃ駄目だと思っても、なかなか腰が上がらないことが多々ある。正直筆者もその部類だ(苦笑)

 世界的にみてもJRAに在籍する騎手の置かれている環境は世界最高レベルだろう。

 金銭的な話をすれば、そこそこ騎乗数を確保している中堅よりやや下に位置するレベルの騎手でも、大企業の管理職より年収が上という状況はJRA以外には見られない。このような恵まれた環境に置かれた人間が、ハングリー精神に乏しいのはある意味仕方がないだろう。

 そして騎手を取り巻いている環境面に言及すれば、先にも述べたように勝つことが絶対的な価値観ではなく、レースの内容(といってもまさに虚像そのものだが)を最優先とする風潮が現場を支配していれば、余計に勝負に拘る騎手は少なくなる。

 昨今、日本人騎手が外国人騎手に負けないようにする為にはどうしたら良いか?という議論を良く見かけるようになったが、技術論云々よりもまず勝負に拘るという意識を植え付けることが1番大事ではないかと思う。厳しいレースを日常的にするようになって、初めてその状況で生きる技術論と言うものが語られるべきではないか

 その状況を実現する為には、確かにJRA騎手の恵まれ過ぎた待遇を改め、結果を残さなければこの場所には残れないという環境を作る必要はあるだろう。ただ、それだけでは駄目だ。競馬サークルを覆う「勝ち負けよりも折り合い、レース内容優先」の価値観も同時に改めてこそ、初めてその改革は成し遂げられるのではと考えている。

 まあ実際のところは「言うに易き、行うに難し」だとは思う。長年染み付いた価値観はなかなか払拭できない。それは騎手もそれ以外の関係者も一緒だ。

 そもそも日本人という民族は遺伝子的なものなのかどうか、勝ち負けよりも内容を重視するところがある。どんなスポーツでも試合に負けても粘りを見せれば「良くやった!」と褒められることが殆どだ。

 勝利至上主義の欧米文化とは根本的な差があり、「負けたら何の意味もない」を肌に感じて育ってきた外国人騎手と、そうではない日本人騎手とで勝利に対する執念が違うのは、育ってきた土壌の違いも大きいのかも知れない。

 だが、だからと言ってこのままで良いとは思えない。日本競馬が今後も魅力的な存在であり続けるためには、そういう価値観は徐々に変えていかなければならないのだ。

 どんなスポーツでも、自国人が活躍しないスポーツはその国において発展はせず、徐々に縮小していってしまう。競馬を愛するものとして、そのような状況は座視できない。

 このブログの記事にどれほどの影響力があるのか?と自嘲する気持ちにならないこともないが、既存の競馬マスコミが取材拒否を恐れて表立った批判が出来ず期待できない以上、口を酸っぱくして言い続けていこうかなと思っている。

 正直、競馬の世界には戻り辛くなるけどね(笑)

 - 競馬雑談

        
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