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矢作厩舎躍進の理由 優れたスタッフを統率する矢作芳人調教師の人間力

   

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 以前書いた記事で、栗東の角居勝彦調教師がなぜあれほどの実績を残しているかについて、自分なりに考えてみたことがあった。

 角居厩舎が次々と活躍馬を輩出し続けるのは何故か?その理由を考えてみた - 馬事総論

 その時の結論としては、角居師は調教師として優れているだけではなく教育者としても優れており、馬だけではなく厩舎スタッフをも鍛え優秀な人材へと育成することにより、厩舎全体の地力の底上げに成功。

 結果、他の厩舎の追随を許さない厩舎力(人間力と言い換えても良い)が備わることとなり、厩舎の所属馬全頭に高いレベルでの調教を施すことが出来ているからだと結論付けた。

 競走馬の調教というと普段使用している調教設備とか、追い切りの強さとかが兎角語られやすいが、実は一番重要なのは「誰が普段その馬を世話し、調教しているのか?」である。

 施設や調教理論がいくら優れていても、それを使いこなす力量が人間側に備わっていなければそれは宝の持ち腐れ、無用の長物と化す。

 そういう意味で高い厩舎力を誇る角居厩舎が、日本競馬の中で他を圧倒する実績を残しているのは至極当然のことなのだが、近年同じ栗東トレセンに所属する矢作厩舎も急速に成長し高い実績を残し始めている。

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 矢作芳人調教師という人は、調教助手時代から一部競馬ファンには理論派として知られ、将来は調教師として活躍する人になるんだろうなと思われていた。

 都内屈指の進学校である開成高校出身という、当時としては異例の経歴の持ち主として競馬の世界に飛び込んできた矢作師。やはり頭の切れる人で今まで出してきた著書でも様々な改革に取り組んできたことが書かれているが、実は矢作厩舎が躍進した一番の理由はそういった改革ではないと思う。

 では何が矢作厩舎の快進撃を生み出し支えているか?それは師が全幅の信頼を寄せる厩舎スタッフの高い力量、そのスタッフを育て上げた師の教育者、長としての力量ではなかろうか。

 開業当初から矢作厩舎は飛び抜けて雰囲気の良い厩舎だと聞いている。今も継続中かどうかは知らないが、師も自厩舎の自慢の一つとして「定年退職以外に厩舎を辞めたスタッフがいない」ことを挙げていた。これは実は相当珍しいことである。

 雰囲気が良いといっても、調教師がスタッフに遠慮してしまい強く言えなくなって生じる「緩さのある雰囲気の良さ」では意味がない。それは雰囲気が良いというよりも、各人が好き勝手を行い易い「ナアナアの雰囲気」だ。そうなると緊張感もなくなり厩舎の成績は低迷するだろう。

 矢作厩舎の雰囲気の良さはそれとは違う。仕事に対する緊張感はしっかりと備わり、調教師もスタッフの手綱をしっかりと握りコントロールが出来ている。

 矢作師の言葉に「よく稼ぎ、よく遊べ!」というモノがあるが、このメリハリの意識が良い方向に向いているのだろう。そして下記に引用した矢作師の手記にあるように、厩舎スタッフへの思いやりがスタッフの成長を促し、厩舎全体の結束力の高さへと繋がっているのかも知れない。

 厩舎と言っても結局は会社組織と大きくは変わらない。社長(調教師)がいくらやり手でも、社員が気持ちよく働けないような会社はいずれ経営に行き詰る。一人ではやれることに限界があるからだ。

 調教助手時代に優れた実績を残した調教師は数多くいる。また数は少なくなったとはいえ、騎手時代に名手といわれた調教師も。ただそれら個人的には優れた技量を持っていた調教師たちが、調教師となっても優れた実績を残している例は多くない。最大の理由はスタッフを使う才能、教育する才能に乏しいからだろう。

 昔は馬の調教だけしてれば良いと言われた調教師も、時代と共に成功するためには多くの事柄を要求されるようになった。馬の仕入れ、馬主との付き合い、所属馬のローテーションの決定、そしてスタッフの統率。

 これからの調教師は角居師や矢作師のように、器が大きく人を惹き付ける才能のある人がより成功するようになるだろう。彼ら新時代のホースマンたちが、日本競馬を更なる高みに導くことを期待して止まない。

 【矢作芳人調教師 信は力なり】リアルと頂点へ! - 予想王TV

 矢作厩舎に入った柿崎に初めて任せた新馬がグランプリエンゼルだった。柿崎は彼女をことのほかかわいがり、人馬のきずなを強めた。エンゼルは担当馬のGI初出場だったNHKマイルCで3着に好走して大穴をあけた後、函館SSで重賞勝ち。新米の柿崎に大きな自信を与えてくれた。

 そして一昨年、彼はバンデと出会う。柿崎の夢の一つは強いステイヤーを育てることであり、メルボルンCを目指しての闘いが続いた。だが、昨秋の豪州遠征はレース直前に故障という最悪の結末を迎えてしまう。最終的な責任は調教師にあるのに、責任を自分だけで背負い込もうとする柿崎の気持ちが僕には辛かった。

 わが厩舎では通常、担当馬は順番制であり、よほど癖のある馬以外は僕から担当者を指名することはない。しかし、リアルスティールは柿崎にやらせたかった。メルボルンで感じた脱力感をパワーに変えて、共に栄光を目指したかった。帰国した柿崎に今年一番の期待馬であると伝えてリアルスティールを任せた。

 - 競馬雑談

        
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